【内科勤務医が語る】市中病院勤務医の勤務スケジュール:当直編【リアルナイトドクター】

スポンサーリンク
医者看護師夫婦からの後輩へのアドバイス
この記事は約6分で読めます。
スポンサーリンク

masaの当直明けの日の働き方は?

当直明けは「基本的には休み」になる、はず

先ほど話したとおり、夜の当直をすることで、masaは平日2日分追加で勤務する形になっている訳です。つまり、その日の朝から勤務していれば、24時間働くことで3日分勤務した扱いになりますね。労働基準法で定められている考え方で行けば、【明けの日】と【その次の日】がお休みになってそれでようやく帳消しになるわけです。

 ただ実際そうは上手くいきません。厳密には病院毎に決まりがあり、その病院が医者の当直を【夜勤】としているのか【当直】としているのかが問題になってきますが、ここではmasaの話をしていきますね。

【夜勤】扱いの場合:明け → 08:30に勤務終了

まずは【夜勤扱い】とした場合の当直明けについてです。先ほど話した様に【夜勤】はその日の朝から勤務していた場合、3日分の勤務を行った扱いになります。なので「基本的に」夜勤明けは帰ってもOKという扱いにmasaの病院はなっています。

とはいえ、担当患者さんの診察や検査チェック、カルテ記載や申し送りが終了してから帰宅、という流れが通常ですから、実際10時〜11時に帰宅する事が多いですね。

そして、次に【当直】扱いの場合について話をします。

と、いうのも今masaが勤務している病院は以前【当直】扱いだったのですが、今は【夜勤】扱いに変わったんですね。なので、少し前がどうだったか、という確認になります。

【当直】扱いの場合:明け → 通常勤務:寝当直のはずだから

こちらの方がわかりやすいですね(苦笑)。

 

当直、つまり「寝当直」で寝ていたのが病院になっただけだから、次の日も普通に勤務できるよね?という考え方ですね。もちろんぐっすり寝れているはずもなく、なんなら眠れていないこともざらにある【寝当直】ですから、かなり体を酷使している勤務になります。

それでも次の日はやめに帰ることは出来ない、という状況だったんですね。改善されて本当によかった。。。

masaが他業種の友達に話してどんびきされた勤務

これが他業種に努めている友達に話してどん引きされた勤務スケジュールです。

 

その日(X日)は朝から働いて勤務し、予定通り17:15分から救急外来の当直を行いました。もちろん患者さんがひっきりなしに訪れて眠る時間はなかなかとれず、それでも無事朝を迎えます(X+1日:この時点で24時間勤務)。とはいえ「寝当直」ということになっていますから、その次の日も通常通り勤務をし、夜を迎えます。20時にやっと帰れるかとおもったら病棟患者さんの急変があり対応をしていたら日付が変わって結局深夜1時に帰った、という日がありました(X+2日の1時に帰宅)。

字だけだとややこしいですよね?一言で言えば、連続41時間病院で勤務していた、という話ですね。まとめると下の様な感じです。

 

X日:日勤 → 当直に突入
X+1日:当直明けだがそのまま勤務、20時に帰ろうとしたが病棟患者急変
X+2日:日付が変わったのを確認して帰宅
もちろん入院患者の急変、というオプションは入りましたが、それでも明けの日の夜20時まで、なんてのはざらにありましたから、36時間勤務、なんてのは普通のイメージでしたね。

今となっては考えられなくなりつつありますが。

ここからは少し脱線しますが、当直明けの医師は使い物になるのか?という疑問に答えていきましょう。

当直明けの医師の能力は?

当直明けの医師の脳は飲酒後と一緒?

当直を経験した事のある方はわかると思うのですが(テスト前の一夜漬けを敢行した学生さんも同じですが)、徹夜明けって自分の頭が上手く働いていない感じが凄くしますよね?

これは実際検証されていて、徹夜明けの医師のパフォーマンスはほろ酔いのパフォーマンスと同じと言われています(参考論文はこちら:Dawson D, Reid K. Fatigue. alcohol and performance impairment. Nature. 1997 ;388:235.)

つまり、当直明けのお医者さんはちょっと一杯飲酒をしてきた人と同じ、ということですね。

 

で、結論使い物になるか、と言えば、もちろんパフォーマンスは落ちますが、いないよりはまし、という結論になります。つまり、病院に医者が潤沢にいる状態でなければ、そんな当直明けのお医者さんに働いてもらう他ない、ということですね。

はやく「使い物になる医者の数」が増えて欲しいと切実に願っております。。。

当直明けの医師が執刀するなんてのはざら

始めにいっておきますが、masaは当直明けの医者が診療、手術を行うことを推奨しているわけではないです。むしろそんなの撲滅されるべき、と思っています。

少し前に話題になった産婦人科医師の飲酒後の診療についても、そんなのないのが理想の世界であることなんて、医者をしている人はみんな思っています

でもそれでも現実はそう上手く行っていないんです。みなさんが「これが普通!」と思っている日本の医療は、「通常の勤務体系からは大きく逸脱した自己犠牲の下に成り立っているんだ」と知ってもらえればと思います。

実際に、飲酒後でない人に診療・手術をしてほしくないのは当然ですが、それをしないと命が危ない、となれば話が変わってきますよね?

他に手術を出来る人がいなくて、転院搬送できる病院もない。もちろん割り切れる話でもないのですが。

 事実、飲酒後、ではありませんが、当直明けの手術の執刀はmasaも研修医時代にしたことがあります。もちろん指導医の監督下で、逸脱した手技は行っていませんがそれくらい「当直明け=ほろ酔い状態の医師が診療・手術を行う」というのは、現在の社会ではありうる仕組みになっているんです。
 少しでもこの医療界の闇が今回の事件をきっかけに変わってくれることを祈って。

後書き

いかがでしたでしょうか。
少し話がずれてmasaの願いも含めてかきましたが、少しでも医者の勤務体系の闇、当直について理解を深めてもらえればと思います。そして、夜救急外来に受診される時に、少しでも医療者に優しくしてもらえれば嬉しいです。
では、最後にもういちど、本日のまとめです。
「今日話した事」
・当直の考え方とはなにか
・当直と夜勤の違い
・当直明けの勤務パフォーマンス

「見て欲しい人」
・医者の勤務体系に興味がある人
・「当直」と聞いてイメージがわかない人
・医者になる前に心の準備をしたい医学生

「結論」
・【夜勤】と【当直】は似てるようで大きく違う
・連続40時間越えの勤務もあった
・当直明けで外来・手術をするのは普通にある。
以上になります。
ではまた次回の更新でお会いしましょう。
*当直の中でも「寝当直」についてまとめたのはこちら*

コメント

タイトルとURLをコピーしました