今その話!? 季節外れの「インフルエンザ」の話 後編

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医者看護師夫婦が教えるcommon-disease
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こんばんわ。
連日季節外れのインフルエンザのお話です。
昨日も大事な話としてお話ししましたが、
こっちの方が大事な話です。
特に最初に話をする「予防」の項目が大事です。

あとは、昨年話題になった新薬の「ゾフルーザ®」についてもお話ししていきますね。

○予防

さて、予防の話をする前に。

インフルエンザですが、
発症までの時間、つまり潜伏期は1〜4日
少し幅がありますが、
だいたいそれくらいの時間で発症します。
自分の症状が出現した時は、
それくらい前に何かイベントがなかったか。
周りにインフルエンザみたいな症状がなかったか。
それを確認して、医療者に伝えて下さい。
おっと、
今回は発症しないための話でしたね。
ごめんなさい。
話を戻しましょうか。
大事なことはここ。
次にお話をする「治療」の項目よりもなによりも。
「予防」にまさる有効な医療行為はありません。
合併症を抑える意味でも、死亡率を下げる意味でも。
なので、
とにかく65歳以上の高齢の方は、
医療機関で予防接種を毎年受けて下さい
高齢の方以外では、
妊婦さん、小児、医療従事者も推奨されています。
あとは、インフルエンザにかかると重症になるCOPDのような慢性疾患を持っている方も推奨の対象です。
あ、COPDについてはまたお話しておきますね。

インフルエンザなんてかかったことないよ

そういう方ももちろんおられると思います。
ただ、かかって重症になっては手遅れです。
それこそ、初めてなったときが
「死ぬとき」
かもしれません。
それを避けるためにも、ワクチン接種をお願いします

でも、タミフルとか飲めばすぐ治るんでしょ?

そう思う方も多いでしょう。
ただ、タミフルを始めとする抗インフルエンザ薬も絶対ではありません
これについては詳しくは次の項目で。
さて、まず
 「予防接種が大事」
 という話をしました。
じゃあ、そもそもどんな効能があるもんでしょうか。
ここからそれを話していきましょう。

<ワクチンの効果>

まず、The インフルエンザのエピソードが25%減ります
これ、凄くないですか?
1/4の人数が減ります
あとは病欠が約4割へります
学校や会社の休みが減るって事ですね。
んー・・・
まぁ良いことです(笑)
あとは病院受診も約4割減ると言われています。
そして、心血管イベント、いわゆる心臓病による入院が約2〜6割(幅がありますが・・・(^^;))へります。
それだけでなく、
高齢の方の入院が約3割減り、死亡率は約半分減少します。
これって、本当に凄いことです。
死ぬかもしれない人が、
ちょこっと注射を打つだけで、
半分が助かるんです。
ただ、注射を打つだけで。
そのすごさが伝われば、
それだけでこの項目を読んで頂いたかいがあります。

<ワクチンの持続期間>

では、その効果はどれほど続くのでしょうか。
本来健康な人であれば
1年ほど抗体はもつのでは
という報告もあります。
ただ、着々と「抗体の値=力」は下がっていきますし、
3〜4ヶ月が限界という意見もあります。
そしてなにより。
インフルエンザはたちのわるいことに、
毎年タイプが少しかわります
Aだったのが、A’みたいに。
このマイナーチェンジが起こると、
今までの抗体は役に立ちません。
なので余計に「毎年」注射をうつことが重要になるんですね。
繰り返しになりますが、
なにとぞ、
【毎年インフルエンザの予防接種をおねがいします】
それだけ伝われば、充分です。
付け加えるなら、
水でうがいするのもとても効果があります。
マスクするよりも、手洗いなんかよりも効果があります。
いや、マスクも手洗いも大事ですけどね。
では、ありがとうございました。

○治療

はい、「治療」のことを忘れてました(苦笑)
では治療についてお話ししていきましょう。
始めに言って起きますが。
とりあえず

インフルエンザですね

と言われたら、
【学校or仕事を5日は休んで下さい】
え?絶対かって?
絶対の方がいいと思います。
厳密には、
職場は拘束規定はないのですが、
その方が会社のためにもなるとおもいます。
だって、症状が5日以内によくなったとしても、
他の人に移すリスクはかわらないので。
そのリスクが低下してくるのが5日経過してから
と言われています。
パンデミック(大流行)になる前に。
自分は大丈夫だから、などと思わずに。
しっかりと休みをもらって治して下さい。
では、具体的な治し方ですが。
基本的には対症療法です。
熱冷ましを飲んで、消化の良いものを食べてください。
一番大事なのは休養です。
しつこいかもしれませんが、しっかり寝て下さい。
つまり、感冒、風邪と一緒ですね。
風邪については以前のページをチェックして下さいね!
あとは薬で言えば、漢方。
漢方嫌いな方は多いかもしれませんが、
「麻黄湯」
がインフルエンザの症状には著効します。
個人的にはおすすめです!!
では、以上になります。
ありがとうございました。
               ・
               ・
               ・
え?
しつこいって?
話さなきゃだめですか?
・・・うーん。
では、話をしていきますね。

・抗インフルエンザ薬

 さて、では抗インフルエンザ薬についてお話ししていきますが。
 始めに言っておきます。
 抗インフルエンザ薬は、
 絶対のものではありません。
 ぶっちゃけてしまえば、
 
 一部の方を除き、必要ありません
 とはいえ、もちろん効果はあります。
 抗インフルエンザ薬、ここではタミフルですが、
 使用すれば。
 なんと。
 【症状が16.8時間短縮されます!】
 どうです、すごいでしょう。
 約半日ですね。
 ただ、残念ながら副作用があります。
 20人に1人で吐き気、
 30人に1人頭痛、
 100人に1人精神症状がでる
 と言われています。
 また、
 1〜10%でタミフルに耐性、
 つまりインフルエンザの効果がないと言われています。
 つまり、
 副作用しか出ない人が1〜10%いる
 ってことです。
 朝晩、1日2回、5日間
 症状が治まっても5日間飲みきった上で
 この効果です。

どうです、凄いでしょう・・・

 ふう。
 そういうことです。
 わりと多い割合で副作用が起きるものの、
 症状自体は半日しか良くならない。
 と、説明すると、

いらない

 っていう人も多いのではないでしょうか。
 そうなんです。
 リスクが高くなく、
 元気な方はいらないことも多いとおもいます。
 あ、ただもちろん。
 半日でも早く症状を抑えるのが大事になることもあります。
 あとは、
 小児の子や、
 何度もいうように高齢の患者さんの場合。
 そして、入院せざるを得ない健康状態の時は、
 薬を使った方が良い、と言われています。
 また、この抗インフルエンザ薬は、
 ウイルスが体の中で増えるのを抑える効果
 があります。
 つまり、どういうことかと言うと。
抗ウイルス薬は、インフルエンザが体の中で増える前に投与されなければ意味がない
 ってことです。
 だって、
 インフルエンザウイルスを殺す、作用じゃないんですから。
 目安としては2日以内
 ベストは6時間以内と言われています。
 おや?
 なにか気になる数字ですね。
 昨日の話を覚えていますか?
 覚えていなければ、チェックしてきて下さい。
 見ましたか?
 見ましたね?
 そう。
 検査は12時間以上経たないと意味がありません。
 治療は48時間以内(ベストは6時間以内)ではないと意味がありません。
 これが昨日、

検査することなくインフルエンザが診断できなければ意味が無い

 と言ったゆえんです。
 だって、手遅れになってから検査して、

インフルエンザだねー

 ってなっても、意味がないんですから。
 昨日、消化不良だった人も、分かってもらえたでしょうか?
 さて、少し個別に紹介していきましょう。
・タミフル
 一番有名な薬でしょうか。
 既にお話ししたみたいに、
 朝晩、1日2回、1錠のカプセルを5日間
 飲み続けて効果を発揮します。
 副作用などは説明した通りです。
 予防のところでは話をしていませんでしたが、
 自費診療ですが、
 1日1錠飲むことで発症を抑える効果もあると言われています。
・イナビル
 吸入の薬です。
 1日1回使用すれば、それで終わり
 5日間も飲み続ける必要がないのが魅力ですね。
 ただ、逆に言えば、
 その1回使用に失敗してしまうと、その時点でOutです。
 そして、
 長期間作用なので、タミフルと違い、
 薬の副作用が出てしまうと・・・
 耐えるしかありませんね。
 それでもやっぱり、一回の治療で全て終わるのは、
 とても強いポイントですね。
 ただ報告としては、
 ほとんど効果がない、なんて報告もあったりするので。
 処方してもらう医師と相談した上で決めて下さいね。
・ラピアクタ
 これは点滴のお薬です。
 飲み薬が飲めない人や、
 吸入の薬ができない患者さんのための薬です。
 原則1回投与すればそれで終わりの薬です。
 タミフルと効果は同じ・・・と言われています。
・ゾフルーザ
 さて。
 一時話題になったゾフルーザのお話しです。
 ゾフルーザは薬の名前、
 正式な名前はバロキサビルマルボキシルと言われます。
 いや、まあそれはいいです。
 名前はいいんです。
 一時期話題、というが実際関東地方を中心に、
 この薬の採用病院が増えましたよね。
 めちゃくちゃ飲んでた人多いのではないでしょうか。
 僕は基本的に新しい薬には飛びつかないタイプです。
 今年も1人もゾフルーザの処方はしませんでした。
 っていうのが、
 新しい薬って、すなわち詳細なデータがない、ってことです。
 もちろんめっちゃ効くかもしれませんが、
 全然効かないかもしれないし、
 めっちゃ副作用がでるかもしれません
 なんか、ばくちっぽいですよね?
 だから僕は出しませんでした。
 そして、案の定、大変な副作用が報告されましたね?
 ご存じですか?
 実際、New England Journal of Medicineという有名な雑誌で取り上げられました。
 結果。
 わかったことはこちら。
 ・ゾフルーザは症状を1日ほど短くするが、タミフルとは差がない
 ・ゾフルーザはウイルス検出期間をタミフルよりも2〜3日短縮する
 はい。
 ウイルス検出期間が減る。
 なんか凄そうですが、
 症状についてはタミフルと差がないんです。
 ただこれだけだと
 タミフルよりはすくなくとも良さそう
 ですよね。
 ただ、次が問題です。
 ・ゾフルーザを投与した成人患者の約10%、
  小児では20%以上で、ウイルスに遺伝子変異が出現。
  その結果、ウイルス検出期間がむしろ延長。
  有症状期間も長引く
 と、いうことです。
 まとめると、
 成人の90%、小児の80%の人ではタミフルと同じ効果だが、
成人の10%、小児の20%の人ではゾフルーザのせいで
耐性ウイルスを生み出すと共に、病気の期間が延びる。
 ってことです。
 本当にばくちみたいになってますね。
 なので、

ゾフルーザ飲みたいです!

 と主張する患者さんは、医療者からすると

私、自分の身をかけて、ギャンブルをしたいです!

 って言っているのと一緒の意味になります。
 趣味でギャンブルをする方は良いと思いますが、
 このギャンブルはやめておいた方がいいと思います
 リターンも少ないですしね。

 以上になります。
 二回にわたりお送りしてきた
 「インフルエンザ」
 季節外れにはなりますが、
 また冬の時期に見返してみて下さい。
 今日のTake home messageはこちら
 ★★Take Home message★★
 ・【予防接種が大事】
 ・あなたには抗インフルエンザ薬はいらないかも・・・
 ・ゾフルーザには手を出さないで。
 以上になります。
 ではでは。
 また明日もこの時間にお目にかかれたら。
 失礼します。
 2019/05/17 masa

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