ダニに噛まれた・・・どうなるの? SFTS

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医者看護師夫婦が教える感染症
この記事は約5分で読めます。
おはようございます。
・・・はい、ごめんなさい。
更新が少し遅れてしまいました。
基本このブログは7時までに投稿を目標にしているのですが、
当直などの関係で多少時間がずれることはあると思われます。。。
ご了承ください。
さて、気を取り直して。
今日はダニに噛まれた後の第二弾。
「SFTS」
についてお話ししていきましょう。

とはいってもこのSFTS.

アルファベット4つ並んだだけでは、どんな病気か分かりにくいですよね。
実はある漫画でも登場していたりしますが(^^)
ただこの病気。
というより正確に言えば病態。
めちゃくちゃ怖いものなんです。
できるかぎりわかりやすく、お話ししていきますね。

○概論

 さてこのSFTS。
 じつはまだまだ発見されて日が浅い病気の一つです。
 と、いうのも2011年に中国から報告されたウイルス感染症です。
 始めはさっぱり分かっていなかったのですが、
少しずつ原因がウイルスによるものであることが分かってきたり、
そのウイルスがどういうものか分かってきたり、
それに対する治療法について調べられてきたり
 という形です。
 はい。
 伝わっていると思いますが、いつも以上にふわっとした語り口ですよね。
 そうなんです。
 はっきりしたことは未だに分かっていないんです。
 なのでこのブログでも分かっていることだけをお伝えしていきます。
 分かっていることは
 ・西日本・韓国の農村・中国の東or中央部で感染する可能性のある病気であること
 ・原因はSFTSウイルス、といってブニヤウイルスの一種でダニに噛まれて感染すること
 ・人から人への感染は血液由来による感染が「報告されている」こと。
 くらいです。
 「報告されている」で伝わる様に、詳細な機序もまだわかった訳ではありません
 これからの研究が期待されている病気ですね。

○診断:病歴

 診断としては検査ももちろん重要ですが、

 やっぱり患者さんのエピソード、病歴が大事になってきます。
まずダニに噛まれます。これは今日が3日目なのでいいですよね?
かさぶたみたいなのができます。

 そしてそのだいたい1週間後ぐらいからまず前駆症状が出現します。

 ただこれは特徴的な症状ではなく、
 熱・頭痛・筋肉痛・関節痛・嘔気・下痢など。

 よく

「かぜにかかったかな?」

「胃腸炎かな?」

といった症状が起こるので、これだけでは診断は難しいです。

 あ、もちろんダニに噛まれた、というエピソードがあれば別ですが。
 そしてその前駆症状に続いて、
 血痰・出血斑・意識障害
そして、全身の臓器にダメージを引き起こす多臓器不全、という病態になります。

 多臓器不全、という言葉から伝わる様に、とても重症な状態です。

 出来る限りここに至る前段階のところで診断をつけたいところ。
実際に、次の「治療」にも重なってきますが、
早期の診断およびこのような合併症の認識がなによりも大切
 と言われています。

○診断:検査

 では、検査による診断方法はどのようなものがあるでしょうか
 一つは良くウイルスによる検査でも言われているように、
 血液で「抗体」を検査する方法があります。
 体の中に入ってきた、SFTS Virusに対する防御反応をチェックする、ということですね。
 ただこれには感染から2〜3週間経った状態でないと反応がでないことがあります。
 つまり、ダニに噛まれてから2〜3週間たった、
 重症になった状態でないと診断結果がつかない可能性がある、ってことです。
 それを待って診断が付いても手遅れ、ということになりかねません。

 いま一番早いのは、こちらも血液ですが、PCR、つまり遺伝子検査「体の中のウイルスの有無」を検査する方法です。

 こちらの場合は感染から1週目で診断が出来る、と言われています。
 ただこちらでもまだまだ検査自体に時間がかかってしまうことは否めません。
 まだ、ウイルス自体の体での増え方や働き方がはっきりしていないこともあり、
 それに対する診断方法も確立されていないのが現状です。
 今後の研究が切に待たれます。

○治療

 さて、診断で散々「分かっていない」という言葉を繰り返しました。
 それで伝わる様に、治療方法もはっきりとは分かっていません。
 基本的には対症療法、が中心になってきます。
 多臓器不全、それぞれの臓器が障害されてくるなら
 点滴や透析の機械などで臓器の代わりをして上げるのが中心になってきます。
 また今、C型肝炎に対する治療薬であるリバビリンがSFTS virusに有効ではないか、という報告が出てきています。
 まだ医学的に確立されているものではありませんが、
 今後確立された治療方法が待たれます。

○予防

 予防についても同様です。
 よく言われるインフルエンザワクチンの様に、
 高い予防効果をもたらすワクチンはありません。
 それは何故か。
 インフルエンザウイルスの様に、
 原因のウイルスの体内での増殖の仕方が解明されていないからです。
 こちらについても今後の研究の進展が待たれています。

 では、唯一の予防法はなにか

 ダニに噛まれないことです。

 もちろん、生息区域である場所に行かないこと、がもちろんですが
「西日本」なんて言われてしまうと、日本国民の半分がアウトです。
 「山・森に行くな」、と言われればそれまでですが、
生活のため仕方ない場合もあります。
 ただ、その様な時も出来る限り、
長袖・長ズボンで行動する、など出来る事をする必要があります。
 そして何より、
 ダニに噛まれた、もしくは噛まれる可能性がある行為をした、という自覚
 をしっかりもち、

 熱や筋肉痛などの症状がでてきた場合にすぐさま医療者に伝えること

 これがとても重要になってきます。
 ここ数日、Take home messageが同じようなことですが。
 本日のTake home messageはこちら
★★Take home message★★
・ダニに噛まれる可能性のある行為を認識すること
・症状がでてきたらその行為を医療者に伝えること
以上になります。
今日は少し投稿が遅れましたが、
明日からは通常通りにもどす、といいな。
では、また明日。
2019/05/09 masa

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