【Code】あなたはどんな医療を望まれますか

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医者看護師夫婦が教える終末期医療
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masa
masa

こんばんわ

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まえがき

忙しい業務の傍ら。
やっぱりブログを書いて形に残すなら、何かしら役に立つブログを書こう、と考えました。
そこで、これからは以下の様な形でブログ運営をしていこうと思います。
曜日によって投稿するテーマを変えようと思います。
本日水曜日は、
施設の人や介護の人に向けて
記事を書いていこうと思います。
「祖父母の介護をしているが、どんな時に病院にいっていいかわからない」
「介護スタッフをしているが、いつ救急車を呼んだらいいのか分からない」
など。
高齢の方は場合によってはしゃべれなかったり、症状が出にくい事もあり。
判断が悩ましいのが正直な所です。
具体的な内容としては、
「施設入所中の患者のトラブルあるある」や、
「老後の親の介護」
の時に役に立ちそうな内容の事をブログに書いていこうと思います。
・親が高齢になってきた方
・介護職の勤務をしている方
・人はどのように最期を迎えるのか興味がある方
ぜひ覗いていってください。
これらの記事は
水曜日:aged
でタグ付けをしておきますので、
別の日の記事に興味があれば覗いてみてくださいね。
めざせ、毎日更新、なのですが。
勤務の都合で更新できない日があることもご了承くださいませ。
では、今日の本題に行きましょう。

死の認識、あなたは家族のCodeを決められますか?

さて。
昨日が命の始まりの妊婦さんの話だったのに比べて。
今日は命の終わりの話をします。
masaは当然、
命の始まる場所でもあれば終わる場所でもある病院
で勤務しているので身近(言葉が正しいかは置いておいて)に感じていますが。
masa

皆さんは「命の終わりの瞬間」に立ち会ったことがあるでしょうか。

ご家族の方だったり、お友達だったり。
瞬間ではなくても連絡が来たり。
状況は様々だと思います。
もっと詳しく言えば、
「なんであの人が・・・」
という急な経過だったり。
「大往生したね。」
というゆっくりとした経過だったり。
最期の瞬間も人それぞれ違います。
では、なぜ、こんな話をしようと思ったかというと。
病院に来て今まさにその様な瞬間が近づいている患者さん、そして家族の方が。
「命の終わりの瞬間が近づいている事」を自覚していない事がとても多い
からです。
例をだすと。
80代の誤嚥による肺炎のおじいさんが入院してきた時。
もちろん細菌をやっつける抗生物質を使って肺炎の治療を開始します。
ただ。
厳密に言えば、
抗生物質は肺炎を起こす菌をやっつけるだけ
であって。
障害された肺を治すのは、おじいさん自身の体の細胞です。
抗生物質を使っておけば、勝手に治る。
そんなものではなく、
必然的に患者さん自身の治癒の力が必要!
になってくるんです。
そして、
年齢を重ねるにつれてその治癒の力は低下してきます。
物を飲み込む力も弱ってきて、誤嚥を繰り返す様になります。
そして、肺炎を繰り返すと少しずつ肺が障害されてきます。
肺は体全体に酸素を送る大事な臓器です。
その肺が障害されると、どうなるでしょうか。
全身の細胞が酸欠になるので。
細胞が壊死していきます
それを防ぐ為、病院では酸素を投与して補ってあげます。
鼻から少量を流したり、
鼻と口の全てを覆うマスクから高流量を投与したり。
でも、いつかその限界も来ます。
マスクで投与できる限界の酸素投与でも、
いずれ体全体の細胞への酸素を補うことが出来なくなります
遅かれ早かれ、どんな方にもいつか訪れます。
その時目の前の医者は、その患者さんの家族である貴方にこう聞きます。
「お父さんが(おじいさんが(ご主人が))急変されました。
 これ以上の処置としては、気管挿管を行い人工呼吸管理が必要です。
 どこまでの医療を希望されますか?」
もちろん、これは一例です。
言葉も、シチュエーションも違うでしょう。
ただ、今後皆さんが生きていく中で、
自分、もしくは家族のCODE(どの程度の医療を望まれるか)を確認される場面
は必ずあります。
少し時間をとって想像してみてください。
貴方は今、自分の・ご主人(妻)の・父/母の・祖父/祖母のCodeを決められますか?
「そんなのわからない」
「まだ元気だから決められる訳がない」
masa

おっしゃるとおり。

でもmasaが入院時や当直時に確認すると、
80ー90台の、死に瀕する患者様のご家族も、
みなさんと全く同じことを言われる割合がとても高いです。
「決められない」
でも、実際の医療の現場ではその場で決めることを余儀なくされることもあります。
決められない場合は、よくよく考えれば
望まなかったかもしれない挿管・人工呼吸器管理が行われる
ことだってあります。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。

なぜ高齢者なのにCodeが決められないか。

少し過激な見出しになりました。
ただ、
【高齢=死に近い】
のは避けられない事実です。
誤解を恐れずに言えば、
今目の前に10ー20台の人が心肺停止で運ばれてくれば、
全力で蘇生処置を行います。
挿管・人工呼吸器、今話題のECMOを回してでも命を繋ぎます。
でも、
80-90台の人が心肺停止で運ばれてきたら。
もちろん全力で蘇生処置を行う「準備」をします。
ただ、実際に開始しつつ、平行して家族にCodeを確認します。
高齢の方であればあるほど。
患者本人や家族の死の価値観がどのような物なのか
を確認することにも重きを置くんです。
「人間には自分の生き方を決める権利と能力があり、
 人生の最後の瞬間までその権利は維持されます」
ただ、患者さん自身は
心肺停止になってしまっては、それを伝える術がありません。
だから、
「命の最期まで、その人がその人らしく存在し続けるためにも、
事前に話合っておくことが大事です」
masa

とにかく、元気なうちに。

でも、先の例であったように。
医療の発達のおかげ、そして嚥下機能の低下などといった障害は
緩徐に・年単位で進行してくることもあり、
命の終わりの時期=終末期
その始まりを認識するのは不可能に近くなっています。
そして、病気によって最期の瞬間へのスピードが違うことも、それを難しくしています。
これは、2003年にJAMAという医学論文雑誌に掲載された病の経過を記した図です。
左上が、ドラマなどでよく登場する「がん、悪性腫瘍」などに代表される経過です。
身体機能の低下は最期の数ヶ月が多く、
患者さんはそこまでに少しずつ終末期への変化を受け入れていきます。
右上は心不全や呼吸不全などが代表例で、先ほどの例にも当てはまります
入院し、治療を受けると一旦は改善します。
ただ、入院前と全く同じ水準には戻っていないことに注目してください。
少しずつ右肩下がりで体力を削られていきます
それでも、
患者さんやその家族は「治る」姿を見ているから、
次の入院の時
「今回もまた大丈夫」
と思うんです。
これは、僕たち医療者も同じです。
しかし図の最期が急に落ちているのが分かるように、
この経過の最期は右下の様な「突然死」に近い経過をたどります。
そして、その時に「Code」が決まっていないことも多々あります。
masa

責めるわけではありません。

医療者ですら、予期するのは難しいんですから。
でも、
そこまでに考える機会はあったはずなんです。
話合う機会はあってもいいはずなんです。
左下はいわゆる「老衰」という経過をたどります。
少しずつ出来る事が減っていき、ベッドの上で寝たきりとなり、最期を迎える。
イメージがしやすいと思います。
この場合は悪性腫瘍の方々よりも時間があるので話合う時間がしっかり取られていることが多いですね。

医療者はどんな時にCodeの話をするか

これまでも再三でていますが。
やはり入院の時です。
みなさんも
risa

「入院の時にその話をきいたことある!」

という方が多いのではないでしょうか。
とはいえ、先ほど話した様に医療者でもまさにその時見極めは難しい
基本的に皆さん、外来で担当の先生に「Code」について確認されたことはないと思います。
「当然でしょ!」
「元気でいるために外来に来ているのに死ぬ時のことなんて」
と思われるかもしれませんが、
むしろ「Code」を聞いてきてくれる先生の方が
しっかりあなたの事を考えてくれている先生かもしれませんよ。
では、
私達医療者はどんな時にCodeの話をした方がよい、といわれているのでしょうか。
よく言われることとしては
「目の前の患者さんが、原因はなんでもいいですが、
 1年以内に亡くなったら驚きますか?」
という質問がきっかけになる、という研究があります。
もちろんこれだけでは不十分という意見もありますが、一人で出来て認識を変えるのには充分な自問自答になります。
masa

みなさんも考えてみてください。

あなたの父/母の・祖父/祖母が一年以内に亡くなったら驚きますか?
「驚かない」という思いが少しでもでたなら、
「Code」について考えて見てもいいかもしれません。
一度時間を取って、家族の中で話合ってみてはいかがでしょうか。

あとがき

Dr.F

「あれ? 今日短くない?」

そうおもわれた方も多いかもしれません。
実際少し短めです。
話の内容が重たいので、文章は短めにしてみました。
次の水曜日の更新では今回散々登場した
「CODE」について
もう少し具体的に話していこうと思います。
一口にCodeといっても様々ですからね。
興味があれば、覗いていってくださいね。

Take home message

Take home message
・人の命の終わりは分かりにくい。
・「家族が1年以内に亡くなったら驚きますか?」
・あなたの望む、最期の瞬間の形はどの様な姿でしょうか?
では、今日はここまで。
またお会いしましょう。
 2020/7/22 masa

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