誰かに聞いて欲しい、不安の話 後半戦

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医者看護師夫婦が教える精神疾患
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こんばんわ。
今日も更新していきます。
昨日に続いて「不安症」の続きを解説していきますね。
よろしくお願いします。

○分類〜診断

・分類

まずは「不安障害の分類」についてお話ししていきましょう。
と、いうのもこの「不安症」。
医学的には「不安障害」と言いますが。
不安障害の中にも複数の病気が存在します。
「異常なまでに感じてしまう不安」
という共通点は持ちながらも、
「不安を感じるシチュエーション」や「病気の特徴」が大きく違うこともあります。
では、詳しく見ていきましょう。
ただ先に断っておきます。
厳密な精神科による分類、とは多少異なります
新しく改訂されたDSM-Ⅴでは
「不安障害」からは除外された内容についても同様に紹介しております。
医療従事者の方はご注意下さい。
あくまで「一般の方にわかりやすく」を大事にブログは更新していきますので。
「分類」ですが、
まず昨日の復習です。
「不安障害」と診断される場合、
原則6ヶ月以上
 過度の不安と緊張が継続することが必須の概念です。
 患者さんのイメージとしては、
 緊張して筋肉がこわばってしまい、思う様な動きが出来ない、
 というのイメージもできるのではないでしょうか。
 余談ですが、この「緊張による筋肉のこわばり」によって炎症が起こり、
 微熱になることもあるんです。
 「不安」で「熱」が出ることもある。
 ちょっと凄いことだと思いませんか?

・心を乱す内科の病気

さて。
「6ヶ月以上不安が続いている方」内科を受診された時。
まず私達が何をするか?
そう。
何においてもまずは「内科の病気」を探す事が大切です。
「うつ病」のページで話をした様に、
体の中の臓器に異常が起きることによって、
気持ちの症状がでてきてしまうこともあります。
「うつ病」と「不安障害」を一緒に抱える患者さんも多いのですが。
それを引き起こすことがある「内科の病気」も重なります。
具体的には次の様な病気です。
・貧血
・甲状腺機能の異常、褐色細胞腫
・ビタミン欠乏
・亜鉛欠乏
・電解質異常
うつ病のページでも説明してるので、比較してみてください。
そしてこれを除外するための検査としては
・炎症反応の検査
・ホルモンの検査
・ビタミン・ミネラルの検査
・電解質の検査
 を採血で確認していくことになります。
 これで問題がなければ「精神科」の病気の中で分類をしていくことになります。

・心を乱す心の病気

タイトルの「心を乱す」としては。
そもそも心の病気は全部乱すわ!
って話なのですが。
ここでは「内科の外来」を受診する「不安症」の患者さんで問題になる、心の病気について話していきます。
「不安」を訴える患者さん。
 背景の病気はたくさんありますが、
 代表的なものを覚える方法で「G-POPS」という言葉があります。
何のことか分からないですよね。
それぞれ5つの心の病気のアルファベットの頭文字を取って「G-POPS」です。
具体的には次の様な病気になります。
G:GAD (全般性不安障害:generalized anxiety disorder)
P:PD (パニック障害:panic disorder)
O:OCD (強迫性障害:obsessive-compulsive disorder)
P:PTSD (心的外傷後ストレス障害:post-traumatic stress disorder)
S:SAD (社会不安性障害:Social anxiety disorder)
いくつか聞いた事があるものもあるのではないでしょうか?
厳密に言えばPのパニック障害についてはDSM-Ⅴ分類から除外されてますが。
まぁ、細かい事はいいんです。
さて。
皆さんが聞いた事ある病気のイメージでもそれぞれの病気。
かなりイメージが違うと思います。
たとえば「パニック障害」と「PTSD」の疾患のイメージって、かなり違いますよね?
個別の病気については、後日お話しをしていくことにして。
今日のところではひとまず「不安症」とひとくくりに言ってきたが、
その中にもたくさん分類があり、それぞれ違った特徴がある。
そのことが分かってもらえれば充分です。
あと少し。
ここから今日はあくまで「不安症」の全体の話として、進めていきます。

○身体所見

診察で「不安症」の方を見るときに注意すること。
第一はやはり「内科の病気探し」になります。
貧血を探すために「目」や「舌」を見たり。
甲状腺の異常を探すために「首」を見たり。
それを観察し終えた上で改めて「不安症」を念頭に置きます。
ただ、その前の段階で

「不安症」の患者さんではないかな?

と医療者が考える症状がいくつかあります。
すこし紹介しますね。
まずは
「まばたきの数」
「不安症」の患者さんでは「まばたきの数」が増加する、と言われています。
あとは脈拍数ですね。
手首で簡単に測定出来る、あれです。
「不安症」の患者さんでは「脈拍数」も増加します。
そしてなにより「頻繁なためいき」をする患者さんが多いです。
また、割りと第一印象で

不安症かな?

と思ってしまう時、患者さんはややネコ背気味な前傾姿勢であることも多いですね。
もちろん、あくまでも「内科の病気」が隠れていないことを確認してから診断することが大切です。

○治療

・薬について

治療についてですが。
さっき話をした様に、
分類されるそれぞれの病気で当然のように飲んでいただく薬は変わってきます
一様に

この薬さえ飲んでれば大丈夫!

とはなりません。

ただ一般的な「不安症」では、
薬がすごく効果がある
と言われています。

薬を飲むことには抵抗ある・・・

という方も一度近くの医師に相談してみてください。
それによって世界が大きく変わる、という方も居ます。
まずは医師の話を聞いてみて下さい。
少しだけ具体的な薬のお話しをすると。
一般的に使う薬としてはSSRI
うつ病の治療薬にも使われる薬が良く使われます。
ただこの辺りについては「精神科」の医師が主に治療を行うことが多いと思います。
と、いうのも。

若年の不安障害患者へのSSRIの治療は【希死念慮】を招く可能性がある

と言われています。
【希死念慮】については前回お話しをした様に「死にたいとおもうかどうか」

・薬以外の治療について

さて。
薬についてお話ししましたが。

薬剤はあくまでサポートです!

もちろん先ほどお伝えしたみたいに
「薬は良く効きます」
ただ全ての患者さんに著効するわけでもなければ
完全にコントロールが出来るようになるわけではありません
そもそも多少の不安は人の心の正常な反応ですからね。
薬の目標としては
「不安の解消」ではなく
「不安の軽減」です。
不安を感じるものの、日常生活に支障を来すことはなくなる
それが治療の目標になってきます。
とにかく時間をかけて下の4つを行う事が大切です。
<4つのポイント>
「傾聴:話を聞き」
「共感:相手の気持ちに共感し」
「安心:相手に安心感を与え」
「保証:不安に感じていることが起こりえない、可能性は非常に低いと保証すること」
この4つは医療者が面談の時に注意することですが。
一般の人でも意識するだけで簡単に行うことができます。
話を聞いてもらえるだけで気持ちが楽になることは多いです。
何度、

聞いてもらって安心しました

と、言葉をもらったか。
もちろん「医者に聞いてもらった」という要素は多少あるとは思いますが。
周りの友人・家族が話を聞くだけでも、大分気持ちが楽になると思います。
また、自分1人で出来る方法として。
1日のなかで「心配の時間」を作ってしまうことも大切です。
その間にとことん心配しきってもらう。
他の心配が出現する余地を与えないほどに心配仕切ってしまう
もしくは、
日中他の時間に不安が生じても

いずれ「心配の時間」で考える事になるんだ。

と思ってもらう。
それだけでかなり安心できます。
ぜひ試してみてください。

これで2回に渡る
「不安症:概論」
については終わりです。
明日からは
「不安症:各論」
をお送りしていきます。
まずは「GAD:全般性不安障害」の一般論についてお話ししていきます。
本日のTake home messageはこちら
★★Take Home message★★
・不安の分類はG-POPS
・薬剤はあくまで治療のサポート
・「心配の時間」を作ってみよう
ではまた明日。
今日もお疲れ様でした。
2019/05/21 masa

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