苦しむ「うつ病」患者を見つけ出せ! うつ病 前編

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医者看護師夫婦が教えるcommon-disease
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こんばんわ。
そろそろGWの影響から立ち直ってこられた頃でしょうか。
働きだしによる急なストレスで、疲れてしまった方、多いのではないでしょうか。
休めてますか?
特に今週末、しっかり休めましたか?
疲れが少し残っている方。
疲れはないはずなのに、なんとなくやる気が出ない方。

「何か最近元気ないね?」

と言われる方。
もしかしたらあれかもしれませんね。
そう、あれです。
「五月病」
です。
え?
今日のテーマと違うって?
細かいことはいいんだよ。
え、良くない?
じゃあ、「5月病」についてはまた改めてということで。
今日は「5月病」にほんのすこーしだけ似てて
なんなら「5月病」よりよっぽどメジャーで、
人によっては命の危険に陥ってしまう可能性のある病気
「うつ病」
についてお話ししていきましょう。
とはいえ、今日はほんのさわりだけ。
全ての項目をお話しするのは一日では難しいですし。
僕がしんどいし。
目標は、
このブログを読んでくれた方に、
家族・同僚のうつのスクリーニングをしてもらい、
できるだけはやく病院に連れて行ってもらうこと。
少し大それた目標かもしれませんが。
あなたの一言、一歩が大事な人の命を救うかもしれません。
その一助になりますように。
願いを込めて、わかりやすく書いていきますね。
では、参ります。

○「うつ」のイメージ

 さて、「うつ病」
 みなさんどんなイメージをお持ちでしょうか。
 実はうつ病の中でもいろいろ細かい種類があるのですが、
 今日は一般的な「うつ病」についてお話ししていきます。
 特殊例はまだ後日。
 とはいえ、一般的な患者さんのイメージはもしかすると皆さんの方が上手いかもしれません。
 TV番組でも散々報道されていますしね。
 病気のイメージは脳の機能が弱ってしまっているイメージです。
 充電が切れて作動しなくなってしまっている状態ですね。
 エネルギーが枯渇してしあい、
 脳の機能異常が起きた結果として、
 「気分・身体・認知機能障害」が起きている病気です。
 ちょっとこの言葉では分かりにくいですね。
 実際に患者さんを見ていてイメージするのは
 ぱっと見ただけで

 「どこかしんどそうで、何とか手助けしないと」

 という気持ちを抱くような人を見たら、

 「もしかしたらうつ病かも」

 と思ってください。
 僕たち医療者が

 「もしかしたらうつ病かも」

 と思うことももちろん大切ですが、
 患者さんの身近にいる皆さんが

 「この人、もしかしたらうつ病かも」

 と思い、

「大丈夫?」

 と声をかけてもらう事の方が、何千倍も意義があります
 いや、全くもって言い過ぎではありません。
 と、いうのは
 僕たち医療者の目の前に登場する患者さんは
【自分で、治療が必要だ、病気なんだ】と判断できた患者さん
 です。
 ただ、「うつ病」の方の多くは
【自分は病気じゃない。治療は必要ない。
 自分が弱いからこれだけ辛いんだ】と思い込んでしまう方
 結果、医療機関にたどり着かず。
 治療を行うことが出来ず。
 この世を去る方が多く存在しています。
 その「うつ病」かもしれない方を助けるためにも。
 みなさんの協力を、よろしくお願いします。

○頻度

 さてさて。
 若干重ためな話になってしまいましたが、
 実際どれくらいの方が「うつ病」と判断されるのでしょうか。
 データにもよりますが、生涯有病率は3〜7%、と言われています。
 どうですか?
 少ないですか?
 でもこれ、小学校40人のクラスで1〜2人はいる計算です。
 もちろん重症度は様々ですが、そう考えると多くないですかね。
 年齢としては20〜70歳台で、女性が男性より2倍かかりやすい、と言われています。
 あ、ご想像の通り、ストレスの多い職業に多いそうです。
 なんなら僕たちは学生の時に
 「研修医は1/3がうつになるからな、気をつけろよ」
 と上の先生に言われてました。
 僕は一応2/3に入れてた・・・のでしょうか。
 これからも

○症状

 「うつ病」の症状と言えば、みなさんはどんな症状をイメージされますか?

 「死にたい」「消えて無くなりたい」

 そんな症状ばかりイメージされてはいないでしょうか。
 もちろんそんな症状も起こすのですが、
 それは重ための症状ですね。
 本来のスタートは軽い症状から。
 それも、最初は

「内科の病気かな」

 と思うような症状で始まることが多いです。
 なにせ、大半の患者さんは始めに一般内科を受診されますからね。
 具体的に言えば、
 「体重が減った」
 「食欲が出ない」
 「夜眠れない、眠ってもすぐ起きてしまう」
 「なんとなく体がだるい」
 という様な症状です。
 どうですか?
 みなさんも自分に置き換えて考えてみてください。
 この症状がでて、すぐ精神科に行きますか?
 行かないですよね。
 これはもちろん「精神科」「心療内科」への受診のハードルが高い
 というのも関係があるとは思います。
 ただそれを踏まえても、
 そもそも心の片隅にも「うつ病」が出てこない人も多いのではないでしょうか。
 あ、もちろん僕でも出てきません。
 だって、

「最近なんか食欲無いなぁ」

 しか自覚していない人が

 「私、絶対うつ病だと思うんです」

 とはならないでしょ。
 ただ、ここで一般内科を受診してもらうのはとても大切。
 なぜなら、
 【内科の病気】が原因で「うつ病」に似た症状を引き起こす
 ことがあるためです。
 つまり、
 【内科の病気】を疑って受診することは本質的には間違ってない!
 さすがです。
 患者の皆さんの方が名医
 といって過言ではないかもしれませんね。
 ではどんな病気が「うつ病」に似た症状を起こすのか・・・
 についてはまた次回。
 後編でお話しします。

○スクリーニング

 さてさて。
 簡単に「うつっぽい人を見つけて病院に連れてきて」とは言ってみたものの。

じゃあ「うつっぽい人」ってどんな人やねん。

 ってなりますよね。
 ここでは簡単に2つの質問だけ抑えてください。
 ①抑うつ気分がないか。
 ②趣味・興味の減退がないか。
 分かりましたか?
 え? わかった?
 あ、それならそれでいいです。
 ただ僕はこの説明では分からないので、
 わかりやすく言い換えます。
 上の二つは明日もお話しするたくさんある、
 「うつ病」の診断基準の項目のうちの2つです。
 これがない、となると少なくとも【The うつ病】である可能性は下がります
 いや、もちろんこれがなくてもしんどそうなら病院へ!が一番ですが。
 ただ、こんな聞き方しても、患者さんは

「は?」

 となるだけです。
 なので、
①「気分がずっと落ち込んじゃって、楽しいことないなぁ、なんて思った事はないですか?」
②「好きなことや趣味はありますか? あるなら、最近もそれは続けられてますか?」
 と聞いてあげてください。
 仮にこれが二つともYes!
 なら、

やっぱり病院に行った方がいいよ

 と伝えてあげましょう。
 ただ一つだけ注意点。
 これ、みなさん当てはまる時も日によってはあるのではないでしょうか?
 僕もあります。
 物事で失敗したときなんか特にあります
 なので、条件はこのYes!が2週間続いているかどうか、です。
 2週間継続して続いていて、
 なおかつ患者さんがその気持ちの変化により日常生活に支障を来している、
 と判断される場合は「病気」として治療を開始します。
 この辺りは明日以降にまた詳しくお話ししていきます。
 とはいえ「うつっぽい人」かもしれないけどスクリーニングを行うのが失礼なんじゃ
 そんな時はその一歩前。
 ジャブみたいな質問をお教えしましょう。
A:最近ご飯ちゃんと食べてる?
B:最近夜ちゃんと眠れてる?
 これなら日常会話で聞けますよね。
 上司の方も日常の場面で部下に聞ける、当たり障りのない質問です。
 この二つが以前と比べて落ちているなら、より「うつっぽい人」である可能性が上がります
 その方にはさっきの二つのスクリーニングの質問をして、確かめてみてください。

いかがでしたか?
このまま行くと膨大な文章量になってしまいそうなので
今日はここまで。
Take home messageはこちら
★★Take home message★★
・うつ病の人は意外と多い
・スタートは内科の症状から始まる
・あなたの周りの人を助けてあげて
以上になります。
繰り返しになりますが、
いくら医療者が頑張っても病院に来てくれた人しか助けられません。
目の前の人を助けられるのは他でもないあなたです。
職場・家族に「もしかしたら」という人がいるなら、
一歩踏み出してみてください。
よろしくお願いします。
では、明日はこの続き。
「うつっぽい」症状を起こす内科の病気も明日話をしていきますね。
ではでは
2019/05/13 masa

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