心配性とは少し違う? 強迫性障害 後編

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医者看護師夫婦が教える精神疾患
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masa

こんばんわ!

無事、二度目の挨拶が出来てほっとしています。
朝も更新しているので、興味がある方はそちらもどーぞ!
では、昨日に引き続き
obsessive-compulsive disorder:強迫性障害
の後半戦を勉強していきましょう!
今日は症状〜治療について。
家族さんや周りの方へのお願いもあるので、
是非目を通して下さいね。
では行きます。

強迫性障害

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強迫性障害の症状

 強迫性障害の症状について。
 実際には特徴」の項目で大体お話ししてしまいましたが
 具体的にどんな症状を起こすのか羅列していきますね。
 ただ、この症状全てを起こすわけではなく。
 患者さんそれぞれによって症状が異なることに注意してくださいね。

不潔恐怖(Washing)

 その名の通り、手が触れるところの恐怖におそわれます。
 そのため、手袋を年中してしまいます。
 どんなに暑い夏であっても
 その当たりが
masa

あれ?

 と気づくポイントでしょうか。

「潔癖症」と「恐怖症」の違い

 ここで1つ。
「恐怖症」は「潔癖症」とは少し違う!
 もちろん潔癖症の人も、不潔に対する恐怖はあるのだと思います。
 ただ、それが「恐怖症」と言えるかは、少し違う。
 ポイントはこちら
合理性に欠く行為と本人が認識しているかどうか
 「潔癖症」は、本人が
risa

清潔にするのが当然だ

と思っています。

 本人にとって、合理性に欠く行為ではありません
 テレビで色んな芸能人の人が、
risa

「潔癖症」なんですよ〜

 と発言場面も多いと思いますが。
 一理ある意見も多いですし、何より本人が、
risa

だって汚いでしょ!?

 と言う様に、説得に回っていますよね?
 つまり
「合理性に欠く」とは思わず、
むしろ「当然だ!」と考えている!
 と、いうことです。
 繰り返しになりますが「恐怖症」の場合は、
masa

そこまで気にするのはおかしい、

 と本人も思っているのに恐怖を感じてしまう
 そしてその恐怖から逃れるために、行動をしてしまう。
 必要ないとは感じていても・・・
 これが「潔癖症」と「不潔恐怖」の違いです。
 恐怖症の方が「不潔恐怖」のため手洗いを熱心にする行動を
 「洗浄強迫」
 と呼んだりします。

確認恐怖(Cheching)

 これも多い、というかイメージがしやすい恐怖だと思います。
 実際、あなたも
masa

家の鍵しめたっけな?

 って家を出て、途中まで歩いてきたのにもどって確認した経験、
 あるのではないでしょうか。
masa

僕はあります。何回も。

 たまにやっぱり閉めてないこともあったりするから、
 確認は大事だな、
 って思います。
 ただ、何度確認しても結果は一緒です。
 それが分かっているのに、
 それでも「確認せずにはいられない」のが「確認恐怖」です。

他の症状

 上の2つがやっぱり多いですが、他にも色んな症状があります。
 それこそ十人十色ですが、ここではもう少し、簡単に紹介していきますね。

 加害恐怖

  人に危害を加えてしまう
もしくは過去に危害を加えてしまったのではないか
と過去を振り返って恐れてしまう恐怖です。

運転し終わって、無事たどり着いたのに、

masa
・・もしかして事故してないよね。
 気づいてないだけ、とかじゃないよね?
 と不安になる方が多いかもしれません。

 強迫性緩慢

これは症状、というよりは結果、かもしれません。

いくつもの強迫行為を繰り返すことにより、次の行動に移れなくなります。
その結果として、
待ち合わせ時間にたいてい遅れたり
病院を含め、予約をキャンセルして取り直したりすることになります。

こういったエピソードを見たら、

Dr.F

また遅刻して・・・

と思わずに、何か背景にあるのでは?と考えるのが大事ですね。

実際に、日常生活に支障がでています。

 妙に言葉にこだわる

   使う言葉にこだわりがある方もいます。
   NGワードがその人の中で決まっているという強迫観念です。

☆masaからのお願い☆

 さて。
 ここまで特徴やら症状やらをお話ししてきました。
 どうでしょうか。
 強迫性障害の患者さんの印象。
 具体的に言えば、
 こういう人が周りにいたらどう思うでしょうか?
 少なくとも
masa

少し変わった人だな・・・

 と思うのではないでしょうか。
 はっきり言ってしまえば、
 少なくとも僕は思ってしまいます。
 もちろんそれで直ぐ偏見には直結しません
masa
masa

どうしたんだろう?

 と、疑問には思うかもしれません。
 ただ、お願いです。
 もしかしたらその人も、
 「強迫症」で悩んでいるのかもしれません。
 その意識だけ持って、もう一度その人を見て上げて下さい。
 周りからの視線や対応が少し変わるだけで、とても嬉しいものです。
 もちろんあなた自身が苦しくなるほど配慮する必要はありません。
 それでも少しだけ、温かい気持ちを持ってもらえれば。

強迫性障害の治療

 強迫性障害の治療を簡単に。
 と、いうのも「強迫性障害の特徴」で一通り話は終わっています
 ポイントは
日常生活に支障がでているかどうか
 なんとか生活は出来ているのであれば薬は不要で、
 少しずつ行うカウンセリングが効き目があることもあります。
 逆に、日常生活に支障がある場合は、
 主に精神科Drにより薬の処方が行われます
 ただこの場合も速やかに症状が消失するわけではなく、
 長い時間をかけて薬の調整などを行うことが必要になります。

チック合併症例

 さて。
 昨日お話しした「チック」がここで関与してきます。
 と、いうのも。
「強迫性障害」に利用する薬と、
「チック」に対して使う薬は違います。
 つまり、強迫性障害に対して治療をしていて、
Dr.F

効き目がないな・・・

 と思った時に「チック」の合併を考える必要が出てきます。
 その場合治療薬を変える必要が出てきます。
 昨日お話しした様に、
 まばたきなどの反復行動が無意識下に出現してしまうようなことがあれば
 かかりつけの医師に相談してみてください。

治療の基本プラン

 精神療法的な治療としては、以下が基本の流れになります
 ・強迫症状による苦痛について本人に確認。
 ・強迫観念と強迫行為の不合理性を本人と確認。
 ・不安を解消するための強迫行為とその回避が常態化したせいで、
  行為をしないと不安が生じていることを説明。

 ・「安全」のための行為・回避は良いが
  「安心」のための行為・回避は減らすようにすることを約束。
 特に一番最後。
「安心」のための行為は出来るだけしないように伝える
 ことが大事です。
 あくまで「気にしない」というのではなく、
本人の苦悩に理解を示した上で、
少しずつ回数を減らしていくこと
 が重要になります。
 いずれにしても長期戦になります
 医療者も、周りの人も。
 患者さんと一緒に頑張ることが大切です。

☆家族への配慮

 「強迫性障害」の治療は、長期戦になることが多い。
 分かって頂けたと思います。
 その上で、
患者さんだけでなく、
患者さんの家族も患者さんの強迫行為に巻き込まれていないか
 にも注意する必要があります。
患者さんの恐怖心により家族の生活が制限され、
巻き込みが徐々に拡大する可能性もある。
 そのため患者本人への指導・説明はもちろんですが、
家族にも話を聞き、必要であれば指導をしていくこと
 が重要です。
 家族さんへの説明としては次の様に説明します。
<家族への説明>
・病気であり叱って治る物ではなく、
叱れば不安がより強まり、治療が困難になることを説明

・家族が本人の強迫行為に巻き込まれることは一時的な安心を与えるだけなので、
より患者自身を不安定にしてしまうためよくないことを説明

・すでに巻き込まれているのならば、巻き込まれの限界を設定することから始めて、
徐々に巻き込まれの回数・程度を減らすよう助言

 家族さんは気づかないうちにストレスを抱えていることも多いです。
masa

患者さんにだけ注目して、家族を見ない。

 そうならないように注意したいですね。

処方

 少しだけ薬のお話しを。
 詳しい内容は直接Drに聞いた方が良いと思うので置いておいて。
 ここでは注意点を。
 精神科の薬で共通していることですが
masa

 飲み始めたら直ぐに良くなりましたよ。
これで薬もうやめても大丈夫です!

 と、なることはほとんどありません。
 あくまで薬は症状を抑える効果で、
長期的なプランで治療を行うことが大切です。
 また、仮に途中でやめる時にも医者の指示を必ず守って下さい
 どうしても「こころ」に作用する薬は副作用として
 「こころ」への依存効果が出てきてしまう薬が多いです。
 せっかく安定していても、
masa

や〜めたっ

 としてしまうと病状が悪化してしまっても全然おかしくありません
 「こころ」の病気は他の病気と違い、
 悪いところを切ったりすることで一気に良くなる物ではありません
 今まで育んできた「こころ」です。
 治療もじっくり、時間をかけて育むことが重要です。

☆注意点

 何よりも大事なことなので昨日に引き続き伝えますが、
「強迫性障害」の患者さんに、
「気にしないように」
と、説得することは避けましょう。
 重ねていいますが、
患者さんもそんなことは分かっています。
合理的でないことは理解しているんです。
その上で苦しんでいるんです。
 そのことを分かった上で関わっていくことがなによりも重要です。
 家族だけでなく、周りの人も同様に。
 温かい気持ちで接してあげてくださいね。

いかがでしたでしょうか。
「強迫性障害」
難しい病気ですが、少しは理解に役に立ったでしょうか?
今日のTake home messageはこちら。
☆☆Take home message☆☆
・「潔癖症」と「恐怖症」は違う!
・治療は「こころ」に寄り添うことが基本!
・「気にしないように」などの安易な声かけはダメ!
以上になります。
明日はまた違う心の病気を扱う予定。
(勉強が間に合えば・・・)
明日もお楽しみに!
今日もお疲れ様でした。。。
2019/05/29 masa

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