○かぜってなんだ?
医療者だけでなく、よく使われる言葉。
「ちょっとかぜひいちゃったかな、って思って」
では、「かぜ」って一体なんなのか、考えたことはあるでしょうか。
「かぜ」は鼻からのどの奥のところまでの上気道、
と呼ばれるところに微生物が入り込み、
症状を引き起こす病気です。
微生物のうちほとんどはウイルスが原因になり、
症状としては鼻みず・咳・咽頭痛・発熱が出てきます。
どの症状も同じくらいつらいことが多いです。
わかりやすく言えば、
「なんか体だるいな/のどいがいがするな」
→「鼻水も出てきた」
→「ちょっと咳も出てきだしたぞ」
という経過が2,3日で出てきた場合は、
ほとんどが「かぜ」といって良いと思います。
・この経過と少しずれる場合
・症状がそろっていない場合
・症状がそろっていてもどれか一つがかなりきつい。
・また、自分自身が「いつものかぜとここが違う」と思う場合
は注意が必要です。
これについては下で少し書いてます。
○一般的な「かぜ」の経過
上に書いたみたいに、
基本的には2,3日の経過で
のどいた・はなみず・せきを始めとした複数の症状
がでてくるのが普通の「かぜ」です。
後は周り(家族・職場や学校の人)に同じ症状の人がいれば、
より「らしさ」が増えてきます。
治り方も、
のどいた・はなみず・せきの順番によくなっていきますが、
せきには注意が必要です。
頑固な咳だけ数週間も残ってしまう方もいます。
「感冒後咳嗽」と言って、
かぜの後の後遺症として咳が残ってしまいます。
ただ、この場合少しずつましになってくるのが普通です。
いつまで経ってもちっとも良くならない場合は、
咳喘息などの別の病気を考えなければいけません。
お近くの病院で相談しましょう。
○注意して欲しい時
・普段の経過と違う時
自分で普段の経過と違う時は、
その違うポイントを医師に伝えてください。
そこが隠れている病気をみつけるヒントになるかもしれません。
また、本来であれば風邪は1週間も経てば復調に向かいます
(前述の様に咳だけ残るのは別)
1週間を超えても全く復調に向かわない、
という場合は他の病気の可能性があるので病院を受診してください。
・ごはんも水も取れなくなった時
・高齢の方で、ぐったりしてきた時
基本的に「かぜ」であれば自然と良くなってくる病気なので、
重症にまでなることはあまりありません。
ただ、小さなお子さんの場合、
自分で飲物が取れなくなったりするとすぐに脱水になってしまうこともあり、点滴が必要になることがあります。
親御さんからみて、
「いつもとくらべてぐったりしていないか」
に注目してあげてください。
また、高齢の方では
せき・のどいた・はなみずなど症状が伝えられず、
肺炎や尿路感染症などの病気が隠れている可能性も高くなります。
こちらも家族さんからみて「普段通り」かどうかに注目し、
少しでも怪しいと思ったら、病院を受診しましょう。
・一旦良くなったのに、
もう一度悪くなってきた(2相性の経過と示す)時
一般的にこのような2相性の経過を示す場合、
ウイルスによる感染症(いわゆる「かぜ」)は良くなってきたけど、そこに細菌による感染症が重なってきた、
可能性が高いです。
良くあるのが副鼻腔炎、と言って、鼻炎の一種。
お元気であれば様子を見ることも多いですが、
場合によっては抗生物質を使う必要があるので注意しましょう。
○医療者に伝えて欲しい事
教えてもらうと助かることは以下のような事柄です。
前述のことも記載しています。
・家族や職場の人に同じ症状の人がいるか?
→ 咳・鼻・喉のなどの症状も一致すればベスト!
・いつもの風邪と違うところはないか?
・市販の薬・持っている薬も含めて既に飲んでいる薬はないか?
・咳・鼻・喉以外の症状で気になるものはないか?
○かぜの時にする検査
基本的に「かぜ」であれば検査はいりません。
むしろ、
「かぜらしさがないとき」に、肺炎など他の病気を探す時に検査が必要になってきます。
「○注意して欲しい時」に書いた様なものがあるときに、採血や胸の写真(X線)の検査を行います。
○かぜの時の治療薬
基本は対症療法
・・・つまり、患者さんがつらいと思う症状に対して薬を使います。
熱があれば解熱薬、
のどいたが強ければ痛みどめ、
咳がつらければ咳止め、
といった形です。
また、漢方薬にも風邪に良く効くものがあります。
基本的に抗生物質とは「細菌」への治療薬であるので、
「ウイルス」が原因である「かぜ」には効果がありません。
ご注意を。
少し長くなってしまいましたが、今日はここまで。
読んで頂いてありがとうございました。
質問があればコメントでお気軽にどうぞ。
2019/04/23 masa
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