ER受診患者の高血圧 2021/5/4

スポンサーリンク
勤務医夫の勉強記録
この記事は約4分で読めます。

【高血圧の救急での対応!】

スポンサーリンク

救急外来・ERにくる高血圧:概論

・降圧薬内服患者で、救急外来に来院した際に正常値に治まるのは大体3人に1人程度。それ以外は140mmHgになるのが普通。

・ただ、二次性の高血圧として、来院患者の5.3%に脳卒中、5.2%に腎不全、3.1%に心不全、2.1%にAMI、0.24%に大動脈解離解離の報告もあるため安易に診断はせず症状の確認が重要。

・一般外来ではなく救急外来で高血圧患者の診察を行う場合は分類を行う必要あり(救急/準救急/軽度高血圧/一過性高血圧)。
HTを持つ患者のおよそ1%が生涯一度Hypertensive crisisを起こす

・二次性の場合はそれぞれの疾患に応じて加療
SAH/解離性大動脈瘤 → しっかり降圧!!
脳梗塞急性期のHTを下げると悪化するので注意!
*明らかな脳梗塞患者や、CTで画像に変化なし → 降圧の時は注意すること!

・腎機能障害は緩徐に降圧していても、腎機能悪化することも!

パニック発作による血圧上昇は心筋梗塞や脳卒中のリスクを1.75/2.37倍に増やす(健常者と比較)
→ 心因性患者であったとしても介入を行うこと。

高血圧緊急症を疑った時のCheck point

病歴・症状

→ 高血圧の診断・治療歴、交感神経作動薬などの内服、
頭痛・視力障害・神経系症状・悪心嘔吐・胸背部痛、乏尿、体重減少

身体所見

血圧:測定を繰り返し再検。
左右差・脈拍・呼吸数・体温をフォロー
中枢神経系:意識障害・けいれん・片麻痺
頚部:頚静脈怒張、血管雑音など
眼底:線状ー火炎状出血、軟性白斑、網膜浮腫、乳頭浮腫など
胸部:心拡大、心雑音、3,4音、湿性ラ音
腹部:肝腫大・血管雑音・拍動性腫瘤など
四肢:浮腫、動脈拍動など

高血圧切迫症:Hypertensive urgency

著明な高血圧患者(SBP>180mm/dBP>120mmHgの時)、無症状・臓器障害ない場合はHypertensive urgencyに分類。

基本的には慢性的な管理でコントロールできる、はず(切迫症)。ただ患者のコンプライアンスは不良であることが多く、3ヶ月以内に外来Drop outしてしまうことも多い。

血圧は数時間〜数日かけて下げていく必要あり(高齢であればさらにゆっくり下げるべき)MAPは最初の2-4時間で25-30%以上は下げない!

【介入】
基本的には1-2日での外来フォローを(降圧薬処方の上で)
急激に血圧が低下してしまった場合は脳・腎・心臓の臓器障害を鑑別すること!

☆基本的には舌下ニフェジピンを使用してしまったときに最も報告があるため注意(JAMA. 1996;276(16):1328. )。使用は禁忌に近い!

そもそもHypertensive urgencyの場合は急激な降圧での効果は証明されていないため、歩行できるならほぼ外来患者として管理が可能(かも)!
救急科来院し1016人を調査 → 435人が急性期の降圧、581人は行わず → 24時間と30日で救急科への再来も変わらず、30日・1年での死亡率も変わらずという報告も(Am J Emerg Med. 2015 Sep;33(9):1219-24.)

【治療目標】
160/100mmHg以下に下げるのが目標。基本的にはまず安静でゆっくり出来る部屋へ。
30分静かな部屋で休むとHypertensive urgencyの32%で血圧が20/10mmHg低下した、という報告も。これでだめなら降圧薬へ(J Clin Hypertens (Greenwich). 2008;10(9):662. )

Hypertensive Emergency:高血圧緊急症

年間100万人に1-2人が高血圧のために臓器障害がある状況で来院。ほぼほぼ原因は血管抵抗↑が問題!

【障害される臓器】
具体的には脳症、網膜出血、うっ血乳頭or急性〜亜急性腎障害
☆腎機能障害があるとき → 単純に降圧薬投与では腎機能悪化につながる。透析も検討する

【治療目標】30〜60分でその患者の正常血圧にもどす
→ 最初の1時間以内に血圧を10〜20%下げるのが目標!(降圧目標<180/120mmHg)
→ 更に10%を24時間かけて下げる!(5-15%の幅)(降圧目標<160/110mmHg)

【オーダーする検査】
血算(溶血性貧血に注意!)・生化学(電解質・Cre)・心筋逸脱酵素(ACSを疑う場合)・尿検査・胸部Xp・心電図
☆頭部外傷・神経学的症状・高血圧製網膜症・悪心or嘔吐がある場合は頭部CT/MRIも追加

コメント

タイトルとURLをコピーしました