「胃腸炎ですね・・・」①【2019/05/11更新】

スポンサーリンク
医者看護師夫婦が教えるcommon-disease
この記事は約8分で読めます。

おはようございます。

今日もこのページを開いてくださって、
ありがとうございます。

さて、さっそくですが皆さん、こんな機会ないでしょうか。

なんだかご飯を食べた後から吐き気がする・・・。
お腹が少し痛くなってきた・・・
お腹がゆるくて、水みたいな便が出てくる・・・。
少しずつ日を追うごとに良くはなってくるものの。

病院を受診。

そして、

「胃腸炎ですね・・・。整腸剤出しておきます」

いかがでしょうか。

割と良くある状況ではないでしょうか。

さて、ここで登場した「胃腸炎」。
一体どんなものか、みなさんは説明出来るでしょうか。

胃と腸に炎症が起きるものだろう

そう思われている方が多いのではないでしょうか。

もちろんその通りなのですが、
ここではもう少し立ち入ってみましょう。


そして、そもそも。


急性胃炎

 と

急性腸炎


は、全く異なるものなので、ご注意を・・・。

いわゆる食あたり、食中毒、とも少しちがいますよ。


では、これから少し解説していきます。
昨日よりは需要があるのではないでしょうか(苦笑)。


一般の方にも出来るだけ、わかりやすく。。。


そもそも「胃腸炎」と言われることが多いですが、
細かく言えば「胃炎=胃に起きる炎症」と
腸炎=腸に起こる炎症」では原因が違うことが多いです。


もちろん同時多発的に起こる事が絶対にない、
わけではありませんが、主に原因が違います。

胃炎の方は、非感染性(感染症ではないもの)
腸炎は感染性のもの(イメージしやすい腸炎)が多いです。

実際の現場では

腹痛の原因がはっきりしない」+「程度としては危険なものではない」時、

良く医療者が使う言葉ですね。

ん?
どこかで聞いた事あるかもしれません。


そう。
少し極論かもしれませんが、

腹痛に対して「胃腸炎ですね」と言うのと、

のどいた・ねつ・はなみずに対して「かぜですね」

というのは似たようなもの、と思って下さい。
(よかったら2日前の記事もチェックしてみてくださいませ)


もし皆さんを診察してもらう先生が、
「腸炎ですね」や「胃炎ですね」 と分けて言われる医師の場合は、はっきり区別して診療をされているのだと思います。

さて、まずは「胃腸炎」の中でも「腸炎」にfocusを当てて解説します。

「胃炎」はまた明日
お待ち下さいね。

○症状・経過

 原因となる微生物(ウイルスやら細菌やら)が
 人の体の中に入ってきてから、
 原因によって様々ですが(後で説明します)、

 約半日〜1週間後に症状がでてきます。
 意外と遠い昔ですよね、一週間って。

 
 症状としてはメインの場所が、
 腸の中でも上の方の「小腸」なのか、
 下の方の「大腸」なのかによって分かれます。

 「小腸」の場合は嘔気が強く、
 下痢は出にくいor発現のタイミングが遅い
です。

 対して

 「大腸」の場合は下痢の頻度が多く、
 嘔吐の症状はでにくい事が多い
です。


 ただまぁ、小腸・大腸が多かれ少なかれ両方ダメージを受けている方が多いですね。

 なので、
 「胃腸炎」、中でも「腸炎」かな、
 と思われる場合は下の様な経過をたどります。

<自然経過> 

今日はここだけ覚えてもらえればOKです!
 嘔気・嘔吐スタート
 ②徐々に
腹痛(痛みの程度は強弱がある痛みで、たまに0になることも)出現
 ③
24時間程度で症状のピークを迎える
 ④その後
下痢軟便、ではなく、完全に水みたいな便)が出現。


 どうですか?
 覚えられそうですか?

 実際に自分が「腸炎」になったことがある方は
 「あ〜、確かに」
 となっているかもしれません。

 上の経過を踏まえた上で、
 僕は腸炎らしさが強い方には、

 「腸炎だとしたら今日・明日がピークだと思います。そこから少しずつ良くなってきますよ」



 と伝えています。

 そして、
 上の「自然経過」を伝えた上で、

 その経過から大きくずれてくる場合は再度病院受診するように伝えています。    


 と、言うのが、
 盲腸、と呼ばれる「虫垂炎」という病気など、
 初期の段階では腸炎と区別が付かない病気が多数あるためです。  

 再診いただいて、
 症状のピークを越えていない場合は追加で検査を行っていきます。

 なので、この「自然経過」のところだけでもイメージを覚えて帰って下さいね。

○原因(簡単に)

 少し詳しくなってきます。
 原因、といっても食べ物、
 ではなく微生物(ウイルスや細菌)の話がメインです。  

 ウイルスは基本的には「小腸」の上の方がメインになるので、嘔吐がメインです。

 細菌は基本的には「大腸」がメインになるので下痢がメインになってきます。
 また、細菌の場合は便に血が混じったり、熱が出たりとウイルスが原因の時よりも重症になることが多いです。


 また別の分け方として
 毒素型(熱がないパターン)と
 大腸型(熱があるパターン)といった分類もあります。  

 少し難しくなるので割愛しますが、


 毒素型がいわゆる食中毒
 と、思ってもらえばOKです。  
 基本的に原因の食べ物を食べて24時間以内に症状がでてきます。  

 たまにTVで出てくる、
 「遠足にいった児童が・・・」
 「原因はお弁当と思われ・・・」

 とかがこれです。

○予防方法

 さて、では問題です。  

「生の食材を食べていなければ、腸炎にはならない」  



 これは○でしょうか、×でしょうか。




 どうですか?


 答え出しましたか?


 さて、正解は、×です。


 もちろん加熱処理は大事ですし、
 一時話題になった生レバーや鳥刺しで腸炎が起こりやすいのは事実です。
 (別に責めているわけじゃありません。
 僕は両方とも大好きです。)

 なので、焼き肉とかでもしっかり火を通して上げるのはとても大事


 ただ、先ほど話に出てきた「毒素型」、
 遠足の弁当パターンをイメージしてもらうとどうでしょうか。  

 ・・・加熱してますよね?


 簡単に説明すると、
 微生物から出た「毒素」を食べることによって症状がでてきます。

 つまり、
 加熱して微生物を殺しても、すでに出ている「毒素」を殺すことは出来ず、症状がでてしまう
 ということです。

 他にも微生物の中には加熱が効かない微生物もいたりするので、絶対ではないので注意しましょう。

 また、これだけ話しておいてなんですが、
 原因の食材・微生物がはっきりしないことなんてざらです。

  半分くらいの患者さんは原因が分からず治っていきます。


 ・・・じゃあ予防なんて無理じゃないか!!


 ごもっともです。  
 ただ、やっぱり生の食材のリスクが高いのは事実です。
 注意しましょう。


 また、ご家族でいわゆる「腸炎」の「自然経過」をたどっている方がいる場合は、手洗い・うがいを特にしましょう。

 そして、自分に症状がでてきた場合は
 「自分が感染源になる可能性がある」
 と意識してください。

 これだけでもかなり感染の拡大が防げます。

○注意して欲しいこと

 今までひととおり説明してきた事も出てきます。

・「自然経過」と大きく違う経過をたどる
 → 他の病気の可能性あり!

・これ以上広めない!
 → 手洗いはしっかりと!

・発熱があるか、血便があるかどうか!
 →今までの説明でおわかりだと思います。

 発熱や血便があると、細菌性
 つまり、重症になる可能性があります。

 もちろん軽症のまま収まる方がほとんどです。
 ただ一つの判断材料になるため、医療者に伝えて下さい。


 特に血便については便の色をあまり注意していない方が多いので、トイレットペーパーに付着した色でも構わないので、赤色が出ていなかったかどうか、伝えてもらえたら、と思います。


・下痢は止めない! 
→ 先ほど出てきた様に体の中にすでに入ってしまった「毒素」や「微生物」が原因です。

 そこを下痢がつらい、気持ち悪いからといって
 下痢止めを飲むとどうなるでしょうか。


 ・・・そうですね、悪化します。


 むしろ下痢は体の防衛反応みたいな物で、
 原因を体の外へ出そうと頑張っているんです。

 それを薬で止めると、
 むしろ症状が長続きしてしまうので、注意しましょう。


・ピークの時に、無理に飲み食いをしない(水やおかゆなどであっても)
 → 一番怖いのは脱水です。
 そのため、発症直後、つまり嘔吐がメインの時に水だけでも、と頑張って飲水をしてくださる患者さんも居ます。

 大変ありがたいですし、脱水が怖いのは本当です。

 ただ、嘔気がつらい時に、過剰に飲水すると嘔吐を引き起こしてしまいます。

 基本的に大人であれば、数時間飲水出来ずとも、脱水にはなかなかなりません

 なので思い切って
 吐き気が辛いときは数時間飲み食いしないで
 おきましょう。

 もし口が乾いて、
 という場合はペットボトルのキャップ、もしくは小さじのスプーン1杯程度
 本当に少量ずつ、飲水をする様にしてください。

 これを聞くと、

 

「いや、それは少なすぎるでしょ・・・」


 と思われるでしょう。

 

 大丈夫です。

 逆に、この飲み方を始めて、
 少し様子を見ても嘔吐が出ない、
 ということであれば少しずつ飲む量を増やしてみて下さい。

○医療者に伝えて欲しいこと

 さて、ここまでいろいろ話をしてきましたが、
 いざ病院を受診するときに伝えて欲しいことを簡単に。

「食歴」

  生卵
  鶏肉、豚肉、牛肉
  魚介類
  旅行時の出店などの摂取、水の摂取など
  *注意としては
 可能な限り1週間ほど振り返って
 教えてもらえるととても助かります。

「旅行歴」 

 国内だけでなく、海外の微生物も考える必要がでてきます。

 あとは、過去に何かしらの病気をお持ちの場合はそれについても教えて下さい。

 特に腹部の手術歴や、
 同様に下痢を繰り返している場合
 その頻度も教えて下さい。


 「腸炎」ではなく、
 他の病気が隠れている可能性がありますし。



長くなってしまいましたね。
最後まで読んでくれた方、お疲れ様です。 僕もつかれました・・・

とにかく今日は、
<自然経過>だけでも覚えて帰って下さいね。

今回は、検査・治療法については割愛しています。
希望があればコメントまで。

まだ「胃腸炎」のうちの「腸炎」しか話してません。
なので、明日は「胃炎」についてお話していきますね。

では、また明日。

2019/04/25  masa

コメント

タイトルとURLをコピーしました